初めてジャズ喫茶にいってみたはなし
仕事終わりの18時半、いってみた。ブンジンホール。
扉を開けて、ずしん、と音に包まれた瞬間、
「ここ、ジャズだけど、」
おまえ、ここ大丈夫?という顔でマスターに見られてしまった。大丈夫じゃないかも知れんと思いながらも頷くと
「ここは適当な店なんで、週3日だけ。レコードね。どんなのがお好きですか」
優しいじゃん、とちょっと安心して、バド・パウエルとケニー・ドリュー、特にMistyが好きだと伝えると、
リクエストは一切受け付けてないと言いながらも Bud! を出してくれた。
用意をしながら、これはモノラルだとか何とか教えてくれたけど音でほとんどなにも聞こえなかった。
座り心地の良いソファと主張しないテーブル、そしてたくさんのオーディオ機器で構成される洗練された空間。
スマホなどのデジタル機器は一切使用禁止。
なにか、考えごとをする、という感じでも無い。
というより、音に圧倒されて思考が停止する。
目の前のモノラルスピーカーから流れてくる音をただひたすらあびる…。
Bud!の5曲目、Keepin' In The Groove が終わったところでプツッと音が消えてマスターの声。
「トランペット。いいですか? チェットベイカーが、ピアニストと2人で演奏してまわってる時にフランスで録ったやつです。」
Diane / チェット・ベイカー
柔らかい音の中で、わたしがカップを置く音と、
マスターがレコードをお手入れする乾いた音がよく響く。
きのうは、バド!とダイアンの他に3枚聞いて帰った。
When There Are Grey Skies / レッド・ガーランド
Jutta Hipp At the Hickory House Vol.1 / ユタ・ヒップ
Jazz Pictures / リタ・ライス
紅茶に角砂糖が溶けていく様子を眺めたり、
ピオニーシェイプのカップの縁のきらめきを眺めたり、
遠くでまわるレコードやマスターの揺れる頭を眺めたり、
そんな感じでボーッとしてる間に、あっという間に2時間が経ってた。
本当にただひたすら音に包まれる、夢の中のような空間だった〜〜
帰り際、また来ますね と伝えると
「あぁ、そうですか」 って。またいこ。
今度はコーヒーかな ワインもいいな。
音に浸りたくなったら また。